健康志向の高まりとともに、白米から玄米へ切り替える方が増えています。玄米は白米と違い、炊き方にコツが必要です。この記事では、初心者でも失敗しない玄米の炊き方を調理器具別に解説します。記事を読めば、ふっくらと柔らかくおいしい玄米を簡単に炊けます。
玄米をおいしく炊くには、正しい水加減と適切な浸水時間が重要です。使用する調理器具によって炊き方が異なるため、道具に合わせた方法を選びましょう。
玄米を炊く準備

玄米の栄養価と旨みを最大限に引き出すには、事前の準備が欠かせません。以下の準備について詳しく解説します。
- 計量
- 洗い方
- 浸水時間
計量
玄米をおいしく炊くためには、正確な計量が重要です。玄米は白米と違い、水分を吸収しにくい特徴があります。玄米1合は約150gで白米と同じ重さですが、容積が異なるため重さで測ることを意識しましょう。家庭用の計量カップを使う場合は、すり切り一杯が1合の目安です。
計量後は平らにならして、水量を正確に測定できるようにしてください。有機玄米は一般の玄米より軽いため、すり切り一杯より少し多めにしましょう。初めて玄米を炊く場合は3合(約450g)から始めるのがおすすめです。3合なら炊きムラが少なく失敗しにくくなります。慣れてきたら2合(300g)も扱いやすい量です。
玄米と白米を混ぜて炊く場合は、別々に計量してから合わせてください。玄米と白米を混ぜて計量すると、正確に計量できない可能性があります。
洗い方

玄米の洗い方は、白米とは少し異なります。玄米をおいしく炊くためには、正しく洗いましょう。まずはボウルや鍋に玄米を入れ、たっぷりの水を加えて軽く混ぜます。玄米を混ぜた後の水は、素早く捨てましょう。水を入れて捨てる作業を2〜3回繰り返すと、水の濁りが最初よりも薄くなってきます。
次に玄米を手でやさしくかき混ぜるように洗いましょう。白米と違って強くこすらないように注意してください。玄米をこすらない理由は、表面にある栄養価の高いぬかを完全に落とす必要がないためです。水は完全に透明にする必要はなく、白濁が少し残っていても問題ありません。
玄米を洗った最後の洗い水はきれいに捨て、ザルで水気を切りましょう。水気をしっかり切ると、浸水時の水加減を正確に測れます。
浸水時間
適切な浸水時間を守ることも、玄米をおいしく炊くためのコツです。玄米は白米と比べて硬いため、水分をしっかり吸わせることでふっくらと炊けます。玄米の理想的な浸水時間は、5〜12時間です。玄米の浸水時間は季節によって調整してください。夏場は5〜6時間程度、冬場は10〜12時間程度がおすすめです。
夏場は玄米に雑菌が繁殖しやすいため、冷蔵庫で保管してください。浸水時間が長すぎると発酵臭が出る場合もあります。時間がなくても、最低2〜3時間は玄米を水に浸しましょう。時間を短縮したい場合は、40℃前後のぬるま湯を使用してください。圧力鍋・玄米モード付き炊飯器を利用のもおすすめです。
【炊飯器編】玄米の炊き方

炊飯器を使えば、手間をかけずに玄米ごはんが簡単に炊けます。炊飯器を使って玄米をおいしく炊くための方法を紹介します。
必要な水の量
玄米は、白米と比べて多くの水分が必要です。玄米と白米を炊くときの水量は、以下のとおりです。
種類 | 米の量 | 水の量 |
玄米 | 1カップ | 1.5〜2カップ |
白米 | 1カップ | 1.1〜1.2カップ |
新米は水分を含みやすいため、水の量は少なめにしましょう。古米は、水の量を多めにするのがおすすめです。水量は、玄米の種類や好みの硬さ、浸水時間、季節などによって調整しましょう。炊飯器に玄米の水量の指示がある場合は、指示通りにしてください。メーカーによって推奨される水加減が異なる場合があります。
炊飯器の設定と炊き時間

玄米をおいしく炊くには、炊飯器の炊き時間を正確に設定することも重要です。炊飯器の「玄米モード」を選択すれば、玄米に最適な設定で炊けます。玄米専用コースがない炊飯器の場合は「白米モード」より長めの炊飯時間を設定しましょう。玄米は白米と比べて硬いため、しっかりと熱を通す時間が必要だからです。
一般的な玄米の炊飯時間は、60〜90分程度です。圧力IHタイプの高性能な炊飯器なら、50〜60分程度に短縮できます。浸水時間を含めると、合計で2〜3時間程度を見込んでおくと安心です。
蒸らしの重要性
玄米をおいしく炊くには、蒸らしの工程も欠かせません。炊き上がった直後に蓋を開けてしまうと、玄米の風味や食感が台無しになってしまいます。玄米が炊けたら10〜15分程度は蓋を開けずに蒸らしましょう。蒸らしの工程を行うメリットは、以下のとおりです。
- 水分の均一化
- 余分な水分の吸収
- 甘みと風味の向上
- 食感のムラ解消
蒸らしが終わったら、木のしゃもじで軽く全体を混ぜましょう。均一な仕上がりになり、おいしい玄米ごはんを楽しめます。
【圧力鍋編】玄米の炊き方

圧力鍋を使うと、通常の炊飯器より短時間で玄米を炊けます。圧力鍋は、圧力によって硬い外皮が柔らかくなり、もちもちした食感になるのが魅力です。圧力鍋を使って玄米をおいしく炊く方法を紹介します。
炊き方の手順
圧力鍋で玄米を炊く手順は以下のとおりです。
- 玄米と水を圧力鍋に入れる
- 強火にかける
- 圧力がかかったら弱火にする
- 15〜20分間炊く
- 10〜15分程度蒸らす
- 蓋を開けて軽く混ぜる
水の量は、玄米1カップに対して1.5〜1.8カップが目安です。玄米の状態や好みの硬さによって水加減を調整してください。圧力鍋を使うと、通常の炊飯器よりも短時間で玄米が柔らかく炊き上がります。高温・高圧で炊くことにより、玄米の食物繊維が柔らかくなり、消化吸収もしやすい点が魅力です。
炊くときの注意点
圧力鍋で玄米を炊く場合、圧力がかかっている間は絶対に蓋を開けないでください。必ず圧力表示ピンが完全に下がってから蓋を開けましょう。火加減の調整も重要です。最初は強火でスタートし、沸騰して圧力がかかったら弱火に切り替えます。説明書記載の炊飯時間を厳守してください。
玄米を炊いた後は急に冷やさず、無理に圧力鍋の蓋を開けようとしないことも重要です。圧力鍋のパッキンの状態を確認しましょう。
【土鍋編】玄米の炊き方

土鍋で玄米を炊くと、独特の風味と食感を楽しめます。手間はかかりますが、土鍋ならではの香ばしさが魅力です。土鍋を使って玄米をおいしく炊く方法を紹介します。
炊き方の手順
土鍋で玄米を炊く際は、吸水時間と火加減が重要です。しっかり浸水させることで、玄米の硬い外皮がやわらかくなり、ふっくらとした食感になります。土鍋で玄米を炊く基本の手順は以下のとおりです。
- 玄米を洗う
- 玄米を6〜8時間水につける
- 水を計量する(玄米1カップに対して2カップが目安)
- 沸騰まで約10分間中火にかける
- 沸騰したら弱火で30〜40分炊く
- 火を止めて15〜20分間蒸らす
- しゃもじで軽く混ぜる
炊くときの注意点
土鍋で玄米を炊くときは、浸水時間を省略しないようにしてください。沸騰したらすぐに弱火に切り替え、途中で蓋を開けてはいけません。焦げ付かないように注意して、炊き上がりは鍋底からしっかりと混ぜましょう。土鍋で炊くことで、玄米本来の香ばしさと甘みを最大限に引き出せます。
玄米を炊くときによくあるトラブルと対処法

玄米を炊くときによくあるトラブルと対処法は以下のとおりです。
- 玄米が固い
- 玄米がべたつく
- 玄米が炊き上がらない
玄米が固い
玄米が固くて、食べにくいと感じることはよくあります。玄米が固くなる原因の一つは、浸水時間の不足です。玄米は白米と違って硬い外皮を持っているため、水分が中まで浸透するのに時間がかかります。適切に浸水させないと玄米の中まで水分が行き渡らず、硬さが残ります。
浸水時間は最低6時間、できれば12時間程度必要です。玄米が固い理由として、水切りが不十分だったり、炊飯器の玄米モードを使用していなかったりする可能性もあります。古い玄米の場合、硬くなりやすいため注意しましょう。水量や圧力、蒸らし時間の不足も、玄米が固いと感じる要因です。
固くなってしまった玄米は、少量の水を加えて再加熱すると改善できます。玄米を挽いて割ったり、発芽させてから炊いたりしても、より食べやすい柔らかさにできます。
玄米がべたつく

玄米がべたつく原因の一つは、水分量の調整ミスです。玄米1合に対して、水は1.5〜2倍程度が適量とされています。べたつきが気になる場合は少し水を少なめにしてください。洗米後にしっかりと水を切ることも大切です。浸水時間が長すぎる場合や蒸らし時間が不足している場合も、べたつきやすくなります。
蓋を早く開けすぎないようにして、古い玄米の使用は避けましょう。べたべたになってしまった玄米は、薄く広げて少し乾燥させると食感が改善する可能性があります。
玄米が炊き上がらない
玄米が炊き上がらないと感じる最大の原因は、水加減と浸水時間の不足です。玄米は白米よりも硬いため、十分な水と浸水時間が必要です。水が少なすぎると芯が残ったままになり、浸水時間が短いと内部まで水分が行き渡りません。炊飯器の使い方も重要です。以下の点を確認しましょう。
- 玄米モードを使用しているか
- 炊飯器が玄米に対応しているか
- 途中で炊飯器の蓋を開けていないか
- 炊飯器のサイズは適切か
玄米自体の問題も考えられます。古い玄米は水分が抜けて硬くなっているため、新しいものに比べて炊き上がりにくい場合があります。玄米の品質や種類によって適切な水加減や炊き方が異なる点も考慮してください。
玄米の炊き方に関するよくある質問

玄米の炊き方に関するよくある質問は下記のとおりです。
- 玄米を炊く時間はどのくらい?
- 玄米の一番おいしい食べ方は?
- 炊きあがった玄米の保存方法は?
玄米を炊く時間はどのくらい?
玄米を炊く時間は、使用する調理器具によって大きく異なります。玄米を炊く時間の目安は、以下のとおりです。
- 一般的な炊飯器:約60〜90分
- 玄米専用モードがある炊飯器:約60分
- 圧力鍋:約30〜40分
- 土鍋:約60分
玄米は白米に比べて硬い外皮を持っているため、しっかりと時間をかけて炊く必要があります。調理時間は、浸水時間や玄米の種類、季節などによっても調整が必要です。忙しくて玄米を炊く時間が取れない場合は、休日にまとめて炊いておくなど、工夫して玄米生活を取り入れましょう。
玄米の一番おいしい食べ方は?

玄米の一番おいしい食べ方は、シンプルな調味料で味わうことです。余計な味付けを控えると、玄米本来の香ばしさと風味を最大限に引き出せます。玄米が炊けたら、炊きたての熱々の状態で食べましょう。玄米特有の香ばしい香りは、冷めると徐々に弱くなっていくためです。以下の方法で玄米を食べるのもおすすめです。
- 醤油・塩をかける
- 雑穀・麦を混ぜる
- 玄米おにぎりにする
- ごま油・オリーブオイルをかける
- 納豆・卵・アボカドと合わせる
- 具だくさんの炊き込みご飯にする
- 玄米チャーハンにする
消化が気になる方は、玄米粥にするのも良い方法です。おかゆにすると柔らかく炊き上がるため、胃への負担が少なく、優しい味わいを楽しめます。
炊きあがった玄米の保存方法は?
炊きあがった玄米は、適切に保存することで栄養価を保ちながら長期間おいしく食べられます。玄米は、冷蔵または冷凍での保存がおすすめです。常温保存は雑菌が繁殖するリスクがあるため、避けてください。冷蔵保存する場合は、玄米が完全に冷めてから1食分ずつラップで包み、密閉容器に入れましょう。
玄米を冷蔵保存すると、2〜3日はおいしく食べられます。長期間保存したい場合は、冷凍保存が最適です。冷凍なら約1か月間保存できます。玄米を冷凍保存する際は、完全に冷ましてから冷凍してください。平らな形で小分けにして、密閉性の高い容器で冷凍するのがおすすめです。
冷凍した玄米を電子レンジで温め直す際は、500Wで2分程度が目安です。冷凍玄米は自然解凍せずに凍ったまま加熱すると、べたつきを防げます。玄米は白米より水分が少ないため、再加熱時に少量の水を加えましょう。パサつきを防止でき、炊きたてのおいしさを取り戻せます。
冷凍した玄米は炒飯や雑炊などのアレンジ料理にも活用できます。まとめて炊いて冷凍し、忙しい日の食事に役立てましょう。
まとめ

玄米をおいしく炊くには、適切な準備と炊飯方法を選ぶことが大切です。計量や洗浄、浸水の基本的な準備を丁寧に行うと、玄米本来の栄養価と風味を最大限に引き出せます。炊飯方法は、調理器具によって変えましょう。正しい方法で炊いた玄米は、保存方法に気をつければ数日間おいしく食べられます。
玄米を日常生活に取り入れれば、健康的な食生活の強い味方になります。玄米の持つ豊富な栄養素と食物繊維を毎日の食事に取り入れて、体の内側から健康を維持しましょう。