- 1日にどのくらいの塩分を摂ればいいの?
- 塩分のとり過ぎるとどうなるの?
- どうすれば塩分を減らせるの?
毎日の食事で、塩分摂取量を気にしている人は多いです。塩分の過剰摂取はさまざまな健康リスクにつながるため、適切な管理が必要です。この記事では、1日の塩分摂取量の目安や塩分の過剰摂取によるリスク、減塩のコツについて詳しく解説します。
この記事を読めば、自分に適した塩分の摂取量がわかり、健康的な食生活を送るためのヒントを得られます。塩分を適切に管理して、毎日の食事を楽しみながら健康を保ちましょう。
塩分の管理は健康な生活に重要
塩分の適切な管理は健康的な生活を送るために欠かせません。塩分の摂取を控えることで、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを低減できます。腎臓の健康維持やむくみの軽減にも効果的です。
骨粗しょう症の予防や胃がんリスクの低減、体重管理にも役立ちます。長期的には、健康寿命を伸ばしたりQOL(※)を向上するために、日々の食生活での意識が重要です。
※ QOLとは、身体的な苦痛の軽減、精神的、社会的活動を含めた総合的な活力、生きがい、満足度という意味
1日の塩分摂取量の推奨値
1日の塩分摂取量の推奨値は、年齢や性別、健康状態により異なります。自分に合った適切な摂取量を知り、日々の食生活に活かしましょう。
日本人の推奨摂取量
日本人が1日に摂取する塩分量の推奨値は、以下のとおりです。
- 成人男性:7.5g未満/日
- 成人女性:6.5g未満/日
- 70歳以上の男性:7.0g未満/日
- 70歳以上の女性:6.0g未満/日
- 18歳未満:年齢や性別に応じて5〜8g未満/日
- 高血圧や慢性腎臓病の人:6g未満/日
上記の数値は、厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」に基づきます。実際の日本人の塩分摂取量は推奨値を上回っているのが現状です。健康維持のためには、自分に適した塩分摂取量を意識し、できるだけ控えめにすることが大切です。
» 厚生労働省(外部サイト)
世界保健機関(WHO)のガイドライン
世界保健機関(WHO)は、成人の1日の塩分摂取量を5g未満に抑えることを推奨しています。5g未満なら、高血圧や心血管疾患のリスクを軽減することが可能です。成人の塩分摂取量は5g/日未満、ナトリウム摂取量は2000mg/日未満の指針を示しています。子どもの塩分摂取量は年齢に応じて調整してください。
WHOは各国政府に対して、食品業界と協力し段階的な塩分削減を進めるよう呼びかけています。消費者への啓発活動も重要視しており、以下のような取り組みを提案しています。
- 食品ラベルへのナトリウム含有量の明記
- 公共施設での低塩食品の提供
- 消費者教育を通じた塩分摂取量の削減
以上の取り組みにより、多くの人が健康的な塩分摂取量を維持することが可能です。
日本人の1日の塩分摂取量は10g
日本人の1日の塩分摂取量は平均で約10gで、厚生労働省が推奨する摂取量を大幅に超えています。摂取量は性別や年齢、地域によって差があります。年々、塩分摂取量は減少傾向にありますが、目標値には届いておらず、健康のために意識的な管理が必要です。年代別や男女別、地域別の塩分摂取量を確認しましょう。
年代別の塩分摂取量
年代別の塩分摂取量を見ると、年齢が上がるにつれて塩分摂取量が増加します。60代以降はやや減少に転じます。具体的な数値は以下のとおりです。
- 20代:男性10.8g、女性9.1g
- 30代:男性10.9g、女性9.3g
- 40代:男性11.3g、女性9.5g
- 50代:男性11.5g、女性9.7g
- 60代:男性11.3g、女性9.9g
- 70代以上:男性10.8g、女性9.4g
全年代の平均では男性が11.1g、女性が9.4gです。すべての年代で、男性の摂取量が女性の摂取量を上回っており、食生活や身体的な要因と考えられます。年齢とともに塩分摂取量が増えるのは、味覚の変化や食習慣の影響です。健康への意識が高まる60代以降では、塩分摂取量がやや減少する傾向にあります。
» 政府統計の総合窓口(外部サイト)
男女別の塩分摂取量
男女別の塩分摂取量には明確な差があります。日本人の平均的な塩分摂取量を見ると、男性は1日あたり11.0g、女性は9.3gです。男性の方が女性よりも約1.7g多く塩分を摂取しています。考えられる主な要因は以下のとおりです。
- 体格の違い
- 食事量の差
- 嗜好の違い
職業や生活習慣による差もあるため、一概に男女だけでは判断できません。塩分摂取量を適切に管理するには、個人の状況に合わせた対策が必要です。
地域別の塩分摂取量
塩分摂取量は地域によっても差があります。東北地方が最も高く、次いで北陸地方です。関東地方や近畿地方は比較的低めで、最も低い傾向にあるのは沖縄県です。寒冷地域ほど塩分摂取量が多い傾向があり、地域の食文化や気候の影響も大きいです。東日本と西日本、都市部と地方、海沿いと内陸部での差も見られます。
地域による野菜摂取量の違いや、地域特有の保存食や加工食品の影響も大きいです。さまざまな要因が複雑に絡み合い、地域ごとの塩分摂取量の差を生み出しています。自分の住む地域の特徴を理解すれば、より効果的な塩分管理が可能です。
塩分過剰摂取の4つのリスク
塩分の過剰摂取は健康にさまざまな悪影響を及ぼします。主な例は以下のとおりです。
- 高血圧
- 心血管疾患
- 腎臓病
- 骨粗しょう症
健康維持のためには、適切な塩分摂取量を心がけることが大切です。。
高血圧
高血圧は、血圧が140/90mmHg以上の状態を指します。日本人の約4割が高血圧のリスクにさらされています。症状がほとんどないため「サイレントキラー」とも呼ばれ、気づかないうちに進行する場合が多いです。放置すると、心臓病や脳卒中などの重大な合併症のリスクが高まるため、早期発見が重要です。
高血圧の予防と改善のためには、以下の生活習慣に気を付けましょう。
- 塩分を控える
- 適度な運動
- 禁煙
- 節酒
定期的な血圧測定と健康診断を受ければ、早期発見と治療につながります。家庭での血圧測定も、診断や治療効果の判定に役立ちます。高血圧の治療は生活習慣の改善が基本ですが、必要に応じて薬物療法も行います。専門医の指導のもと、適切な管理が大切です。
心血管疾患
心血管疾患は、心臓や血管に関連する病気の総称で体に深刻な影響を与えます。心血管疾患には、冠動脈疾患や心不全、脳卒中などが含まれ、生活習慣と密接に関係しています。塩分の過剰摂取は心血管疾患のリスクを高める大きな要因です。
塩分を取りすぎると、体内の水分量が増え、血圧が上昇します。高血圧は動脈硬化を促進し、血管壁への負担を増加させ、心臓への負荷も高めます。心血管疾患のリスクを低減するには、以下の対策が効果的です。
- 塩分を控える
- 適度な運動
- 禁煙
家族歴や年齢、性別なども発症リスクに影響するので、自分の状況をよく理解しましょう。心血管疾患は症状が現れにくいため、予防と管理が重要です。日々の生活習慣を見直し、心血管疾患を予防してください。
腎臓病
腎臓病は、進行性の腎機能低下を特徴とする深刻な病気です。高血圧や糖尿病が主な原因で、早期発見と適切な管理が重要になります。腎臓病の患者にとって、塩分の摂取制限は特に大切です。塩分を取りすぎると、腎臓に負担がかかり、症状が悪化してしまいます。通常よりも少ない量の塩分摂取を心がけましょう。
タンパク質の制限も必要です。腎臓のろ過機能が低下すると、老廃物や水分が体内に蓄積します。腎臓病の管理には、以下のポイントを意識しましょう。
- 定期的な健康診断
- 適度な運動
- 禁煙
重症化すると透析や腎移植が必要になる可能性もあるので、早めの対策が大切です。生活習慣の改善を通じて、腎臓病の進行を遅らせましょう。カリウムやリンの摂取制限が必要になる場合もあるため、医師や栄養士の指導のもと、適切な食事管理が重要です。
骨粗しょう症
骨粗しょう症は、カルシウム不足により骨密度が低下する病気で、高齢者や閉経後の女性に多く見られます。骨粗しょう症になると、骨折のリスクが高まります。骨粗しょう症の予防には、塩分を控えることが有効です。塩分を多く摂ると、尿中のカルシウム排泄量が増え、骨密度の低下につながるからです。
骨粗しょう症の予防と対策として、以下の点に気をつけましょう。
- カルシウムとビタミンD不足
- 塩分の摂りすぎ
- 運動不足
骨密度測定検査を受ければ、骨粗しょう症の診断ができます。治療は薬物療法や生活習慣の改善が中心ですが、骨折予防のために転倒にも注意してください。家の中の段差をなくすなど、生活環境を整えるのも対策の一つです。
1日の塩分摂取量を減らす6つのコツ
塩分の過剰摂取は健康問題を引き起こすため、日々の食生活で意識的に塩分を控えましょう。しょうゆや加工食品などの塩分の多い食品を控え、減塩調味料を使用し、出汁やスパイスで風味をつける工夫が効果的です。
- 塩分を多く含む食品を避ける
- 減塩調味料を活用する
- 出汁や香辛料で風味付けする
- 調味料は後から加える
- カリウムを多く含む食品を摂る
- バランスの良い食事を心がける
以上の方法を組み合わせると、無理なく塩分摂取量を減らせます。
塩分を多く含む食品を避ける
塩分を多く含む食品には以下が挙げられます。
- 加工食品
- インスタント食品
- 塩蔵食品
- 加工肉
- スナック菓子
- ファーストフード
しょうゆやソースなどの調味料の使用量も減らしましょう。缶詰や瓶詰の食品、塩味の強いチーズや干物なども注意が必要です。麺類を食べるときは、スープを残しましょう。食事での工夫を重ねれば、自然に塩分摂取量を減らせます。新鮮な食材を使った手作り料理を中心にすると、塩分をコントロールしやすいです。
減塩調味料を活用する
減塩調味料を活用すると、塩分の摂取量を効果的に減らせます。代表的な減塩調味料は以下のとおりです。
- 減塩しょうゆ
- 減塩みそ
- 塩分カットタイプの調味料
- 低ナトリウム塩
- 減塩だしの素
- 減塩ケチャップ
- 減塩マヨネーズ
- 減塩ドレッシング
通常の調味料と比べて塩分が少ないので、普段の料理に取り入れるだけで自然と塩分摂取量を抑えられます。減塩調味料以外にも、酢やかんきつ類の酸味、ハーブやスパイスなどを活用しましょう。塩麹や甘酒といった発酵調味料も、うま味を加えながら塩分を抑える効果があるのでおすすめです。
野菜ジュースや果汁を調味料として使うのも良い方法です。自然な甘みや酸味があるので、塩分を減らしても満足感のある味わいを作れます。減塩調味料を上手に活用して、健康的でおいしい食事を楽んでください。
出汁や香辛料で風味付けする
出汁や香辛料を使って風味付けをすれば、塩分を控えめにしてもおいしい料理が作れます。昆布や鰹節などの出汁を活用してうま味を引き出すのがおすすめです。黒コショウやガーリックパウダー、唐辛子などの香辛料は、風味を付けられます。バジルやタイム、オレガノなどのハーブを活用して、香りを加えるのも効果的です。
レモンや酢などの酸味を利用して塩味を補い、ごまやナッツ類を使って風味と食感を出しましょう。和風の料理では山椒や柚子こしょうなどの和風香辛料がよいでしょう。みそや醤油を少量だけ使用すると、深みのある味わいを出せます。自分好みのスパイスミックスを作り、独自の風味を楽しむのもおすすめです。
調味料は後から加える
調味料を料理の最後に加えると、塩分摂取量を減らせます。調味料を料理の最後に加える方法には、以下のようなメリットがあります。
- 調理中の塩分蒸発を防げる
- 味の調節が簡単にできる
- 調味料の使用量を視覚的に確認できる
調理後に塩分を加えれば、より少ない量で十分な味付けが可能です。家族全員での食事の場では、各自で調味料を加えると、それぞれの塩分摂取量を管理しやすくなります。
カリウムを多く含む食品を摂る
カリウムを多く含む食品を積極的に摂って、塩分摂取量を減らしましょう。カリウムには、体内のナトリウムを排出する働きがあるので、血圧を下げる効果が期待できます。カリウムを多く含む食品は以下のとおりです。
- バナナ
- アボカド
- ほうれん草
- ドライフルーツ
- 豆類
野菜や果物を多く含む食事を心がけてください。生野菜や果物をスナックとして活用するのも良い方法です。カリウムサプリメントを使用する際には、必ず医師に相談しましょう。
バランスの良い食事を心がける
バランスの良い食事は健康的な生活の基本です。主食や主菜、副菜をバランスよく組み合わせ、必要な栄養素をまんべんなく摂取しましょう。食事の際には以下のポイントに注意してください。
- 野菜や果物
- 良質なたんぱく質
- 脂質の質と量
- 食物繊維
ビタミンやミネラルが豊富な食品も大切です。水分も十分に摂取して、多様な食材を使用すれば、栄養バランスが整います。適切な食事の量と頻度も重要です。過度な加工食品や調理済みの食品は控えましょう。
» 栄養バランスのとれた食事を実現する方法!
1日の塩分摂取量に関するよくある質問
1日の塩分摂取量に関する疑問について、よくある質問と回答を紹介します。
塩分を減らすと食事が物足りなくなる?
塩分を減らすと食事が物足りなくなると感じる人は多いですが、一時的な現象です。減塩を始めたばかりの頃は、物足りなさを感じます。人間の味覚は適応能力が高く、時間とともに新しい味に慣れていくので安心してください。物足りなさを軽減するためには、以下の工夫が効果的です。
- 段階的に塩分を減らす
- 香辛料や酸味を利用する
- うま味成分を利用する
- 新鮮な食材を利用する
減塩に慣れると、過剰な塩分を不快に感じます。健康上のメリットを意識しながら、少しずつ減塩を進めてください。物足りなさは一時的なものなので、長期的にはおいしく健康的な食生活を送れます。
減塩食品は高い?
減塩食品は製造過程で特別な技術や代替原料が必要なため高価です。しかし、長期的な健康維持を考えると、実は経済的な選択肢と言えます。減塩食品を購入する以外にも、自宅で調理すれば工夫次第で減塩できます。最近では比較的手頃な減塩製品も増えてきました。
自家製の減塩調味料も、コスト削減の方法の一つです。少し高価でも、減塩食品を選んで得られる健康効果は、価格以上の価値があります。
子どもや高齢者の塩分摂取量にも注意するべき?
子どもや高齢者の塩分摂取量にも注意が必要です。子どもの場合、年齢に応じて塩分摂取量を調整する必要があります。味覚は乳幼児期に発達するため、小さいときから減塩習慣が大切です。高齢者は味覚の変化により、塩分を過剰に摂取してしまうリスクが高いです。腎機能の低下により塩分の排出能力も低下するので、注意しましょう。
減塩のためには以下のような取り組みを試してください。
- 減塩レシピの活用
- 塩分控えめの調理法
- 定期的な健康チェック
- 医療専門家の助言
子どもや高齢者向けの減塩レシピを活用したり、塩分控えめの調理法を取り入れたりすれば、家族全員の健康を維持できます。定期的に健康チェックし、必要に応じて医療専門家の助言を受けましょう。
まとめ
1日の塩分摂取量を管理することは、健康的な生活のために欠かせません。日本人の塩分摂取量は、厚生労働省の推奨値を上回っているため、意識的に減塩に取り組む必要があります。過剰な塩分摂取は、高血圧や心血管疾患などのリスクを高めるので注意が必要です。
この記事で紹介した減塩方法を日々の生活に取り入れ、無理なく継続的に塩分摂取量を減らしましょう。バランスの良い食事と、年齢や性別に応じた適切な塩分摂取を心がけてください。塩分管理は少しずつ習慣化していくことがおすすめです。